ここでは「猫のてんかん」に対しての抗てんかん薬について紹介していきます。
抗てんかん薬にはさまざまな種類のものがありますが、このページで紹介している薬が全てではありません。
※ヒトや犬などの薬とはまた違いますのでご注意ください。
また、薬の選択や判断は必ず獣医師の指導のもとにおこなってください。
ただの飼い主である私が、かかりつけ医や緊急センターの獣医師に説明していただいたこと、自分で調べたことを忘備録的に纏めたものになります。
知識として覚えておくと役に立つと思いますし、実際私も事前に調べていたおかげで先生とのやりとりがスムーズにいきました。
専門用語が多めで読むのも大変かもしれませんが、ご興味がある方はぜひ最後まで読んでいただけたら幸いです(*^^*)
ファーストラインの抗てんかん薬
薬での治療では一般的には1つの薬を単品で初期容量から開始し、発作をコントロール出来なければ少しずつ増量して調整をしていきます。
その単剤投与可能な抗てんかん薬のことをファーストラインの抗てんかん薬と呼びます。
その中で多く選ばれるのが下記の2点です。
フェノバルビタール
製品名:フェノバール、フェノバルビタール
1日2回の服用で定常状態(※)になる期間は約10~14日
(※)薬の投与を開始してある一定の期間が経過し、体内に薬が蓄積しきった状態になること
錠剤、シロップ、粉など薬剤形態はさまざまなものがあり、値段も比較的安価です。
犬猫のてんかん薬として一番有名かと思います。
エビデンスもしっかりあり、長い使用履歴があります。そのため、選ばれる先生も多いように感じます。
猫の約70%はこのフェノバルビタールで抑えることができるそうです。
副作用
飲ませ始めてから2週間程度の間に起こる初期副作用と長く飲ませて起こる長期副作用があります。
※初期副作用は一過性のものです。
副作用のなかでも肝臓への負担が懸念されています。
そのため、定期的に血液検査を行い身体に影響がないかをチェックする必要があります。
ゾニサミド
製品名:コンセーブ、エクセグラン、エピレス、ゾニサミド
1日2回の服用 定常状態になる期間は約7日
唯一日本で開発された比較的新しく副作用の少ない抗てんかん薬です。
新しい薬のためエビデンスが少なく、ファーストラインとしてではなくセカンドライン、またはサードラインとして選ぶ獣医師も少なくないようです。
副作用
フェノバルビタールほど大きな副作用はないようですが、食欲低下がみられるケースもあるようです。
人には尿路結石になりやすいという副作用もあるようですが、猫にはどうかは今のところ分かっていないようです。
それと、味がとにかく不味い(苦い)らしくフードやおやつ等に混ぜて飲ませるのはなかなか大変です。
セカンドラインの抗てんかん薬
ファーストラインの抗てんかん薬の効果がなく、主に併用して飲む薬のことを言います。
カロもファーストラインで選んだ薬だけではおさまらず、セカンドラインの薬を併用して発作が落ち着きました。
この選択をするのは獣医師になりますが、そういう選択もあることを知っておきましょう♪
ジアゼパム
製品名:ホリゾン、セルシン、ダイアップ(座薬)
基本は1日に2回の服用
抗けいれん作用のほかに、鎮静・催眠作用、筋緊張緩和作用もあります。
また、精神安定剤、抗不安薬として処方されることもある薬です。
副作用
鎮静作用があるため、足元のふらつきなどがみられます。
そのほかに重要な副作用として、飲みはじめの際に急性肝壊死という肝臓障害が起こることが稀にあります。
その最初さえ問題がなければ、継続して服用した際の大きな副作用はありません。
食欲増進という副作用もあり、食欲刺激剤として処方されることもあるそうです。
カロはこのジアゼパムを少量(0.6mg)併用して飲んでいます。
座薬のダイアップも重積発作が起こってしまった時用にも常備しています。
レベチラセタム
製品名:イーケプラ
1日3回の服用
単剤でも有効な抗てんかん薬ですが、すぐ効いてすぐに効果が切れることからファーストラインの薬としてはあまり選ばれません。
肝臓で代謝されるフェノバルビタール、ゾニサミドと違い腎臓から排泄されるため、肝機能が低下している猫に推奨されることが多いです。
1日3回の服用とほかに比べ回数が増えること、比較的高単価、一般の病院でなかなか常備されていなかったりするためお勧めされることは少ないかもしれません。
副作用
安全性が高く大きな副作用はあまりないようですが、食欲低下、沈うつなどがあるようです。
また腎臓から排泄されるため腎臓への負担も懸念されています。
ガバペンチン
製品名:ガバペン
2006年に日本で認可された比較的新しい抗てんかん薬です。
鎮痛薬、鎮静剤としても処方されます。
1日3回の服用が必要です。
副作用
大きな副作用はありませんが、稀にふらつき、嘔吐、下痢などがあるようです。
セカンドラインは一日3回の服薬が多いイメージです。
効き目が早いのは嬉しいですが、飼い主的にはちょっと大変なんですよね。
それも考慮してカロはジアゼパムをセカンドラインとして選びました!
血中濃度測定と定期検診
抗てんかん薬を服用し始めてから、定常状態(※)に達した後に、抗てんかん薬の血中濃度を測定する必要があります。
(※)薬の投与を開始してある一定の期間が経過し、体内に薬が蓄積しきった状態になること
血中濃度が達していなければ、薬の量を増やすなど対策がされます。
また、血中濃度が達していても効果がみられない場合は、薬を変える、セカンドラインの薬を足すなどの対策がされます。
これは必ず獣医師と相談・指示のもとにおこなってください。
カロは子猫だったので、成猫になるまでは体重の変化が大きくて薬の量も安定しなかったため、血中濃度測定をするまで時間がかかりました。
そして副作用として表れやすいのはやはり肝機能の低下です。
副作用で肝臓への負担がでやすい薬を服用している場合は、定期的な血液検査が必要となります。
カロちゃんはそれが大変でストレスになることが考えられたので、副作用の少ない薬を選びました。
性格を考慮しての薬選びをしてくれたのはありがたかったです。
頻繫に血液検査をするのは結構なストレスですよね…。
ですが、年に一度の健康診断も兼ねての血液検査は毎年行うようにしましょう。
肝臓だけでなく、ほかにも気をつけなくてはいけない病気はたくさんありますからね!
これが毎年、先生と看護師さんに掴まれて大騒ぎニャのよ…!
年の一大イベントで、数人がかりで本当に大変です…。
いかがでしたか?
薬を選ぶのはもちろん獣医師ですが、その際にしっかりと説明・相談をしてくれるかも重要なのかなと思います。
てんかんは長期的に治療していく病気です。
獣医師との関係性がよくないと、根気よく向き合っていけないです。
なので私達飼い主側も、少しでも知識を身につけて獣医師と二人三脚で治療していけたらいいですね。
☟薬の飲ませ方動画をあげています。参考にして頂けたら幸いです。
☆参考にさせていただいたサイトページ☆
※PDFデータが開きます。
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